製造現場のための統計解析法(手法編)
~品質管理におけるデータマイニング(ビッグデータ分析術)〜
セミナーの概要
AIやIoTなど、デジタル化の波はものづくりの現場に大きな影響を与え、製造業を取り巻く環境は大きく変動しています。従来、日本の製造現場では熟練者の経験や勘、知識に基づいて高度な品質管理や設備保全が行われてきましたが、これからの「データ社会」では、いかに膨大なビッグデータを活用して、更なる品質向上や製造の効率化、技術継承を図れるかが大きな課題となっています。
本セミナーでは、主に製造現場における品質管理にフォーカスし、データマイニング(ビッグデータ分析)を駆使して、いかに品質不良の影響因子を絞り込んで品質向上に結びつけるか、事例演習も交えながら実践的に学びます。
受講後の実践的な活用のために、EXCEL、pythonを用いて、受講者各自1台ずつPCによる演習を行います。(PCはご用意致しますが、持ち込みも可能です)
※本セミナーでは、統計学の実践的な活用に重きを置くため、統計学の基礎理論や体系的知識を習得したい方は、「製造現場のための統計解析法(基礎編)」、また、機械学習(Python)による実践的な活用法を習得したい方は、「Pythonによるビッグデータ解析」を併せて受講することを推奨します。
担当講師
野口 怜
受講対象
・製造分野における統計解析やデータマイニングの考え方について実践的に学びたい方
(特に数学・プログラミングの知識は必要ありません)
学習内容
1.製造現場におけるデータマイニングと進め方
・製造現場におけるデータマイニングの狙いと適用範囲
・従来の統計的手法とデータマイニングによる品質管理の違い
・製造現場におけるデータマイニングの活用事例
・データサイエンティストに求められる知識・スキルセット
・データマイニングの進め方
2.データマイニングで用いる統計学の基礎
・代表値(平均値・中央値・最頻値)
・ばらつきの指標(分散・標準偏差・標準誤差)と外れ値
・分布と仮説検定
・製造現場における統計学:工程能力指数(Cp,Cpk)と公差
・変数の尺度(名義尺度・順序尺度・間隔尺度・比例尺度)
・相関係数/相関と因果の違い
3.分析課題の理解・分析目的の設定
・分析課題の選定・定義
・従属変数・独立変数(目的変数・説明変数)の考え方
・分析に向けた「品質不良」の捉え方(良品/不良品判別、不良率、不良モード判別 など)
4.データの理解・可視化・観察
・製造現場におけるデータの種類
・製造工程の理解とデータの確認(工程別・要因種類別のデータ、原因系/結果系データ など)
・グラフによる不良状況の可視化と偏在の確認(ヒストグラム・箱ひげ図・散布図)
・相関分析による不良の影響因子候補の把握(例:不良率と相関する変数は何か)
5.データの準備・加工
・分析に適したデータ形式とは
・従属変数・独立変数の加工(連続数:不良率、カテゴリー値化:不良モード、2値化:良品/不良品 など)
・データ結合の考え方(例:製造データと品質データを紐付ける)
6.分析モデルの構築とモデル評価
・代表的な分析手法の概要と手法の選び方
・線形回帰による不良予測と影響因子の絞込み(例:不良率の回帰から製造温度の影響を抽出)
・*ロジスティック回帰による良品/不良品の判別(例:良品/不良品の回帰から製造圧力の影響を抽出)
・*決定木分析による良品/不良品の判別(例:良品/不良品の判別条件から作業者によるブレを抽出)
・モデルの評価指標:Precision(適合率)とRecall(再現率)
・精度向上に向けたモデルチューニングの考え方
・分析結果の技術的な検証
注)*印の解析手法は、Pythonのサンプルコードを用いた演習を行います
7.展開
・分析結果の製造へのフィードバックの考え方(例:. 歩留まり向上、リアルタイムスコアリング など)
(セミナーの内容は、一部変更される場合がございます)
・セミナー終了後、希望される方には業務への活用方法等についてご相談に応じます。