医療データ解析のための実践統計学
概要・目的
・医療分野において、「科学的根拠に基づく医療の実践」という語がよく使われます。この科学的根拠を作り出す際に統計学が用いられます。
・本セミナーでは、医学・医療分野で用いられる統計学について、分析事例を通じてわかり易く解説し、基本的な知識、及び実践的な分析力の習得を目指します。
・統計解析はEXCEL(2016以上)を使用いたします。マウス操作(GUI)であるため、初学者にとって難しくなく、すでにある程度の統計解析を知っている人でも、結果を素早くEXCELで確認できるようになります。
*<実践力の例>
検定結果の解釈おいて、有意確率(P値)は、有意、すなわち違いがあるかどうかを表す指標であり、効果(ズレ)の大きさそのものは示していません。
また、サンプルサイズ(データ量)が異なる場合には解釈方法も大きく異なります。的確な解釈方法(効果量、検出力等)について習得する必要があります。
*受講後の実践的な活用のために、演習には受講者各自1台ずつPCを用いた実践的な演習を行います。(数学の知識は特に必要ありません。)
学習内容(キーワード・内容)
1.基本統計量
1)代表値とは(平均、中央値)
・平均値の特性
・中央値の重要性
2)バラツキの重要性(分散、標準偏差)
・バラツキの計算方法
・標準化(Z値・偏差値)
・標準正規分布
3)グラフの活用方法
・箱ひげ図による平均値とバラツキ、外れ値の理解
・検定、研究計画に基づく図の選択(棒グラフ、散布図、折れ線グラフ)
2.統計的検定
1)検定とは
・有意確率(P値)
・第1種の過誤、第2種の過誤
2)2つの代表値の検定
・パラメトリックおよびノンパラメトリックの違い
・名義・順序・間隔・比率尺度
・t検定:1標本、2標本、対応ありなしについて
補足:3つ以上の検定
3)比率の検定
・分割表
・カイ二乗検定
補足:カイ二乗検定とログランク検定
4)研究計画に基づく統計解析
・パラメトリックかノンパラメトリックか
・対応ありか、対応なしか
・ランダム化比較実験とは
・コホート研究(前向き)とケースコントロール(後ろ向き)
・効果量と検定力
3.相関分析
1)相関関係と散布図
・量的か質的かによる、2変数間の関係性
2)相関関係と因果関係の違い
3)交絡要因
・相関関係が成り立つが、説明不可の事例紹介
・交絡因子の考察から層別分析、因果関係へ
補足:共分散分析の調整因子、マッチング
4)相関と偏相関
・交絡因子、疑似相関と偏相関
4.回帰分析
1)単回帰分析
・回帰式の求め方:決定係数
・散布図
・相関と単回帰分析
2)重回帰分析
・最適なモデルを求める方法:偏回帰係数と回帰係数、重相関係数
・ダミー変数を用いた回帰分析
3)実際の研究での相関関係の検討
・偏回帰係数の有意性
・多重線形性の影響
・ランダム化比較試験の有用性
補足:実践編で用いるロジスティック回帰分析は、名義・順序尺度が入った回帰分析
(セミナーの内容は変更される場合があります)
*セミナー終了後、希望される方には様々なご相談も可能です。
受講者アンケート
医療データに特化した分析方法について学べたのは有意義でした。ふだん使っている統計学との違いがわかりました。
今まで間違った解釈をしていました。検定方法の奥深さ、同じ結果でもデータ数による解釈の違いがあることは驚きでした。
効果量と検定力、とても勉強になりました。これから使えそうです。
ロジスティック回帰分析を理解できました。思ったより簡単でした。